塾における過去問の活用法

多くの塾では秋から入試直前に向けて過去問を使った演習を行われているのではないでしょうか。

それぞれの塾において創意工夫をしながら過去問を活用されていると思いますが、中学受験、高校受験の赤本を長年にわたり発行してきた英俊社が、段階的に入試問題にアプローチしていくその活用法をまとめてみました。

1.単元別の入試問題演習

まず最初に入試問題に触れるのは志望校にしぼった問題ではなく、さまざまな種類の入試問題を単元別かつ難易度別に分類したものです。


入試問題独特の考え方やアプローチに慣れるのが重要なポイントです。単元がわかっているために、考えるべき思考も限定され、比較的取り組みやすいアプローチです。

使用する教材としては、まずは入試問題をもとに編集された単元別教材を利用されるのがよいのではないでしょうか。
そのうえで、さらに類題演習をやらせたいなど問題量が不足する場合は、プリント教材で補うのもおすすめです。

2.志望校の入試過去問演習

ある程度入試問題に慣れたら、志望校の入試問題をチャレンジさせます。平均すると3~5年分。ポイントは以下の通りです。

① 入試傾向分析の材料

直近数年の入試問題は出題傾向を分析する材料になります。頻出単元や年度ごとの傾向の有無、設問の形式や難易度などさまざまな切り口から問題を分析し傾向をつかみます。

② 入試を知る

ほとんどの生徒たちは初めて入試を経験しますので、できるだけ不安材料を少なくして入試本番に臨んでほしいものです。そのために、過去問演習を通じて生徒たちに試験の雰囲気を感じてもらいます
加えて先生方がお持ちの過去の指導経験からその学校の試験の特徴などを伝えてあげてください。

③ 時間配分の感覚を養う

実際の試験時間に合わせてテストしましょう。1つの大問にかける時間配分の感覚を養っていきます。初めは時計を見ながらでも構いません。やがてからだに時間の感覚が身についてくると、適切な時間配分で入試に挑めるようになります。

④ 問題を解く順序を見極める

入試において必ずしも満点を目指す必要はありません。解けない問題があってもよいのです。確実に解ける問題を素早く見つけて解答し、時間のかかる問題はあとに回す。見極める力を時間の感覚とともに訓練します

⑤ 現状の実力を知る

合格点と比較してどの程度差があるのか、まずは現状の実力を把握します。点数に一喜一憂するのではなく、合格ライン上にある生徒は入試に向けてどのように維持、向上させていくのか、合格ラインに達していない生徒にはどのような指導、フォロー、モチベーションアップをしていくかを考えます。

⑥ 弱点を対策する

得点できていない部分の理由をさぐりましょう。まったく理解できていないのか、理解が浅いのか、はたまた、計算間違いなのか、ケアレスミスなのか。もし入試直前であればまったく理解できていない内容を一から学習する時間はないかもしれません。捨てるべきところは捨て、伸ばす部分を見極めて課題を与えましょう

3.他の学校の過去問演習

最終的な直前の仕上げの段階です。赤本収録以前(書籍収録以前)の志望校の過去問を入手するのが難しく、テスト形式での演習が不足している場合は、他の学校の過去問をテスト形式で行うのも効果的です。

  1. 時間の感覚を磨く
  2. 解く問題の順序の見極める
  3. 本番まで忘れないようにするための全分野対象の演習

といった効果が得られます。

番外編:赤本収録以前(書籍収録以前)の志望校の過去問演習

入手可能であれば、書籍収録以前の古い過去問にも取り組みたいところです。

① 独特の思考を身につける

特に難関校などでよく見られるケースです。他の学校でなかなか類題が見つからない独特の思考をさせる問題があります。この場合は解くための思考や手順を徹底的に身につけるために、より古い過去問を入手して練習するのが効果的です。

② 独特の形式に慣れる

設問に至るまでに長い文章が与えられるような形式の問題が出題されるなど、独特の形式で出題される学校を受験する場合には、読解力や必要な情報を取捨選択するスキルが必要になってきますので、しっかりとした練習が必要になります。

また、解答でも考え方の道筋を書かせるものや、マークシート、数学の選択問題など特徴的な解答形式も同様に練習が必要になるでしょう。

最後に:入試過去問をフル活用して生徒を合格に導こう

入試問題は数多くの先生方のチェックを経て、入念に作成されていますので、良問がたくさんあります。

入試過去問をフル活用して生徒たちを志望校合格に導いてあげてください。

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