生徒の成績を伸ばせるプリント教材作成のポイントと基本的な手順を解説

教育熱心な先生ほど、生徒の成績を伸ばす方法で悩みがち。中でも、オリジナルのプリント教材は作り手によって質が大きく変わるため、生徒が成績を伸ばせるようなものを作りたいと考えている先生も多いのではないでしょうか。また、教室のマネジメントも担当する立場であれば、教材の質の担保だけでなく作業効率のことも考えなければなりません。

では、どうすれば質の高いプリント教材の作成と、作業効率の向上を両立できるのでしょうか。今回はこれらの悩みを解決すべく、プリント教材作成のポイントについてまとめました。

生徒の成績を伸ばせるプリント教材を作成する5つのポイント

生徒の成績を伸ばせるプリント作成する際は、以下の5つのポイントを押さましょう。

ポイント理由
1.プリントを使う目的とメリットを冒頭に記載する生徒のモチベーションをアップさせるため
2.レイアウトを整える見やすさと理解しやすさを向上させるため
3.図表を積極的に用いる文章よりも図表の方が直感的に理解しやすいため
4.アウトプット用のプリント教材もセットで作成する成績が伸びるのはインプット後のアウトプットができたときであるため
5.可能な限りテンプレート化する誰が作成してもなるべく一定の質を保てるようにするため

1.プリントを使う目的とメリットを冒頭に記載する

プリント教材を作成する際は、冒頭に使う目的とメリットを記載しましょう。目的とメリットを共有することで、生徒は意欲的にプリント学習に取り組めるようになるためです。

目的やメリットとして、以下のような例が挙げられます。

  • 自分でまとめノートを作る手間が省ける
  • 文字ではイメージしにくいポイントを視覚的に理解できる
  • 内容を理解しやすい順番に整えてあるため頭に入りやすい

生徒の学習に対するモチベーションは、成績向上と大きく関わります。先生は生徒のモチベーターでもあるため、プリント学習させる際も、やる気が出るような工夫をする必要があります。

2.レイアウトを整えて理解しやすくする

プリント教材は、レイアウトの見やすさが重要です。レイアウトが整っていないと理解しづらく、そもそも学習意欲が湧かないためです。

例えば、文字が敷き詰められているプリントの場合、生徒は一目見ただけでやる気を失ってしまいます。そのため、内容だけではなくレイアウトにも気を配りましょう。

見やすいプリント教材を作る際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • フォントを統一する
  • 見出しを設ける
  • 箇条書きを使う
  • 吹き出しを使う
  • 図表を使う
  • 余白を多めに取る
  • 文字を適度に大きくする

3.図表を積極的に用いてイメージしやすくする

プリント教材を作成する際は、教科書よりも積極的に図表を用いましょう。文章よりも図表の方が、直感的に理解しやすいためです。

そもそもプリント教材を用意するのは、既存の教科書や参考書より高い学習効果を出すためです。したがって、図表を自由に入れられるというプリント教材ならではの強みは、積極的に生かすべきです。特に、体系的な理解が必要な部分の図表化は有効です。

プリント教材に載せる図解は、シンプルなものがおすすめです。細かい内容は図表ではなく、文章で補足しましょう。

4.アウトプット用のプリント教材もセットで作成する

プリント教材はインプット用だけではなく、アウトプット用もセットで用意するのがおすすめです。なぜなら、生徒の成績が伸びるのはアウトプットのタイミングであるためです。アウトプット用のプリント教材を、インプット用教材の内容に対応したものにすると、アウトプットの質はより向上します。

アウトプット用プリント教材の形式は、特に問いません。穴埋め式であれ選択式であれ、インプット用教材の内容に対応していれば、高い学習効果が期待できます。

5.質にばらつきが出ないよう可能な限りテンプレート化する

プリント教材を一度作成したら、汎用性の高い部分はテンプレート化しましょう。プリント教材は、教室の規模によっては複数のスタッフが作成することもあります。その場合、作成者によってプリント教材の質にばらつきが出てしまう恐れがあるのです。

プリント教材をテンプレート化しておくと、誰が作成してもある程度の質を保てるようになります。また、テンプレート化によって作成効率が上がり、作業時間を削減できるというメリットもあります。

プリント教材の基本的な作成手順6STEP

続いて、プリント教材の基本的な作成手順を一つずつ解説します。

1.教材のテーマを決める

まずは、プリント教材で取り扱うテーマを決めましょう。テーマを決める際のポイントは、以下のとおりです。

  • なるべく細分化する
  • プリント1枚で網羅できる内容にする
  • テーマ名は生徒が「何について学ぶか」を具体的に理解できるものにする

たとえば、英語のto不定詞を取り扱う場合は「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」というように、それぞれテーマを分けます。to不定詞のように内容のボリュームが大きいものは、そこからさらに「①目的(〜するために)」「②原因・理由(〜なので)」といった形で、さらに粒度を細かく分けてもよいでしょう。

テーマは可能な限り細分化した方が、生徒は何について学ぶか理解しやすくなります。

2.フォーマットを決める

テーマを決めたら、プリントのフォーマット(形式)を決めます。具体的には、以下の項目を設定します。

項目ポイント
文字の大きさ文字の大きさを揃えて見やすくする見出し・本文などそれぞれでサイズを統一する
フォント基本的には統一アクセントをつけたい箇所(吹き出しなど)のみ変えるのは有効
余白のサイズ狭くなりすぎないように注意
氏名記入欄の有無プリントを提出してもらって管理する場合は設けた方がよい
学習日付欄の有無生徒の学習進捗をより細かく把握したい場合は設けた方がよい

フォーマットを決める際は、最低限これらの項目を明確にしましょう。フォーマットを設定したらそのままテンプレート化しておくと、質の担保と作成時間短縮につながります。

3.プリント教材に盛り込む具体的な内容を決める

フォーマットが固まったら、どのような内容を盛り込むかを具体的に決めます。プリント教材は、多くの情報を詰め込めばよいわけではありません。プリント教材の強みは「見やすくまとまっていること」であるため、盛り込む内容は取捨選択したがよいでしょう。

1枚のプリント教材に入れられる情報量は、フォーマットによって異なります。例えば文字が大きい場合は、記載できる文字数が少なくなるため、必然的に情報量を絞る必要があります。

情報を絞る際は、内容の優先順位を明確にしましょう。補習メインの塾であれば、応用的な内容までカバーするよりも、基礎的な内容をわかりやすく掘り下げることの方が重要です。プリント教材に盛り込む内容は、学習目的によって選ぶようにしましょう。

4.構成を組む

プリント教材に盛り込む内容を決めたら、全体の構成を組みます。構成作成時点で決める項目とポイントは、以下のとおりです。

項目ポイント
記載する内容の順番理解しやすさが最優先教科書どおりにする必要はない
見出し大見出し・中見出し・小見出しを必要に応じて設定見出しの粒度は必ず揃える
図表や吹き出しどこに配置するか決める補足や注意書きの記載場所も決める

記載する内容の順番は、評判のよい参考書を参考にしても、先生の経験をもとに決めても構いません。

見出しの粒度については、以下の表を参考にするとよいです。

見出しポイント
NG例①織田信長
②豊臣秀吉
③徳川家
①②は人名にもかかわらず、
③は一族の名称(複数の人物が含まれている)になっている
OK例①織田信長
②豊臣秀吉
③徳川家康
すべて人名であるため問題なし

5.構成をもとに中身を作成する

構成が組めたら、実際に中身を作成します。作成の際は、いったん誤字脱字やその他のミスを気にせず、最後まで作り切るのがコツです。なぜなら修正作業まで同時に行うのはマルチタスクとなり、作業効率が低下するためです。

マルチタスクを防ぐ方法として、まずは見出しから作成、その後本文作成という風に工程を分けるのがおすすめです。

6.作成ミスがないかチェックする

プリント教材が一通りできたら、最後にミスがないか、質に問題がないかを確認します。具体的には、以下の項目をチェックしましょう。

  • 内容の抜け漏れ
  • 誤字脱字
  • わかりにくい箇所
  • 直感的に見づらい箇所

特に誤字脱字は発生しやすいので、Wordなどの校正機能だけでなく、目視や音読でも確認するようにしましょう。

プリント教材作成に役立つツール

最後に、プリント教材作成に役立つツールを紹介します。おすすめのツールとメリットは、以下のとおりです。

ツールメリット
Word校正機能で誤字脱字をチェックできる見出しを容易に設定できる図表の挿入が簡単
Excel(Googleスプレッドシート)テンプレートがあるため作りやすい自力で疑問点を解決しやすい関数で計算が簡単にできる
Canvaデザインがおしゃれデザインテンプレートが充実しているデザインの自由度が高い

Word

Wordはおもに文書作成に使われるツールですが、プリント作成にも使えます。文章だけではなく、図表の挿入も簡単にできるため便利です。見出し機能もついているので、見出しを簡単に設定できます。

さらに、Wordには校正機能がついており、自動で誤字脱字をチェックできます。目視チェックの前に、校正機能で検出できる誤字脱字を修正すると、作業時間を短縮できます。Wordは文章作成がメインのツールであるため、主に文系科目のプリント作成で役立ちます。国語で使う縦書きのプリントも作成が可能です。

Googleドキュメントも、基本的な機能はWordと変わりませんが、ルビをつけられないことが欠点です。ルビの有無は学習内容の理解しやすさに関わるため、Wordの方がおすすめです。

Excel(Googleスプレッドシート)

Excel(Googleスプレッドシート)は、ネット上にプリント作成用のテンプレートが多数公開されています。また利用者が多く、トラブルの解決方法がネット上で共有されているため、作成における疑問点なども自力で解決がしやすいです。

ExcelとGoogleスプレッドシート、どちらを利用してもよいですが、図表・イラスト機能はExcelの方が豊富です。Excel(Googleスプレッドシート)は、関数機能を活かして数学や算数などのプリント教材を作る際にも役立ちます。

Canva

Canvaは、デザイン用のツールです。有料プランもありますが、プリント作成の場合は無料版でも特に問題ないでしょう。Canvaの魅力は、デザイン性が優れていることです。利用できる素材が豊富に用意されており、操作も簡単です。またCanvaには、多くのデザインテンプレートが用意されています。上手く活用すれば、作業時間を大幅に短縮できます。

Canvaは特に、視覚的な情報が理解度に影響しやすい理系科目のプリントの作成におすすめです。

こだわりのプリント教材で生徒の成績をアップさせよう!

  1. プリントを使う目的とメリットを冒頭に記載する
  2. レイアウトを整える
  3. 図表を積極的に用いる
  4. アウトプット用のプリント教材もセットで作成する
  5. 可能な限りテンプレート化する

プリント教材は5つのポイントを押さえて作成することで、生徒の成績を効率よくアップさせることができます。無料で使えるツールを利用すると、金銭的なコストも押さえられるので、ぜひ参考にしてみてください。

editこの記事を書いた人

鈴木翔馬
shoma

鈴木翔馬:フリーライター。前職は大手個別指導塾教室長を担当。受験対策を中心に、数十名の指導を経験。また広報活動の一環として、受験対策ブログの運営も実施。現在は当時の経験を活かし、専門である金融・不動産ジャンルに加えて、教育メディアのコンテンツ制作にも携わっている。

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