学習塾講師が選ぶおすすめノートアプリ4選!手書きノートのデジタル化で生産性を向上
2024年1月11日 | お役立ち情報
学習塾講師にとって手書きノートは何事にも代えがたい武器。ノートをデジタル化し、活用の幅を拡げることは知的労働者としての生産性を高める一つの重要な手段になります。
しかし、世の中にはたくさんのタブレット向けノートアプリがあります。どれをどのように使うべきか、最適なものを選ぶことは容易ではありません。
特に、学習塾の講師という働き方に沿った選び方が難しく、最適なアプリが見つかるまで試行錯誤で無用な時間をとられたり、デジタル化したらかえって面倒になってしまったりなど、「手を出してみたが合わなかったからやめてしまった」という方も多いはず。
そこで今回は、学習塾における手書きノートアプリの選び方やおすすめの活用法について、過去10年以上学習塾におけるICT活用に取り組んできた講師の視点で解説します。
もくじ
1.学習塾における手書きノートアプリの活用
学習塾の講師が自分の手書きノートをタブレット端末で管理する場合、具体的な使い道は次の3つが主な活用法ではないでしょうか。
①指導計画や授業準備での活用
- 担当クラスや生徒別の指導計画を立てる
- 授業の要点や指導の流れを整理する
- 授業で使用する資料や板書を用意する
②授業中の活用
- 準備した資料や板書を授業で使う
- 授業中の板書を書き込む
③宿題の採点業務での活用
- 提出された宿題を保存し、確認する
- 提出された宿題への採点やコメントの書き込み
タブレットでこうした使い方を実現するには、端末はもとより、どのようなアプリを使うかが重要です。
単に手書きでノートを作るだけであれば、iPad純正のノートアプリでも可能です。しかし、学習塾の講師という仕事を考慮した場合、それが最適な選択かと言われれば「ノー」と言わざるを得ません。
ここからは、現在の一般的な学習塾のICT環境を想定しつつ、学習塾の講師の視点から必要なアプリの機能を整理していきます。
2.講師が手書きノートアプリを選ぶ3つの視点
タブレット用の手書きノートアプリにはたくさんの選択肢がありますし、詳しい解説はインターネット上に溢れています。しかし、多忙な講師にはその一つひとつを手当たり次第に試していく時間はありません。
そこで、いくつかの視点から予め「こういうアプリを見つけたい」という条件を定めておきましょう。自分に最適なアプリを選ぶ時間を大幅に短縮することができます。
以下、学習塾講師の立場から3つの視点を提示します。
1つずつ取りあげていきます。自身の環境や活用の目的に合わせて、必要な条件を考えながら読み進めてください。
【視点1】手書きノートを授業で使うか?
1つ目の視点は、手書きノートを授業で使用するか否かです。
昨今はオンライン授業で講師がタブレットを使用することも増えていますし、電子黒板を導入している塾であれば、対面授業でもノートアプリを使用することができます。
ノートアプリには、紙面の考え方に以下の2種類があります。
①紙ノートタイプ
画面に収まる一定サイズの紙面を、紙ノートのようにめくりながら書き進めるタイプ
②無限キャンバス
紙面が縦横に無制限に広がり、自由自在に書き進められるタイプ
手書きノートアプリを使った授業の醍醐味は、授業展開に合わせて自由に紙面を動かせること。
- 書いた板書は消さず、画面が埋まってきたら紙面をスライドさせて余白をつくる。
- 画面外に押しやられた内容も、必要になればすぐに手繰り寄せてその場で振り返ることができる。
こうした授業をするには無限キャンバス機能が欠かせません。
したがって、学習塾講師が手書きノートを授業で使うのであれば、ノートアプリは「無限キャンバス」機能があるものを選ぶ必要があります。
裏を返せば、「デジタルノートはあくまで自分の授業準備用」と割り切るならば、紙ノートタイプのアプリも選択肢に入ります。お好みのものを選んでください。
【視点2】PDFへの書き込みは必要か?
2つ目の視点は、PDFファイルへの書き込みが必要か否かです。
昨今はPCやタブレットで使用できる学習塾向けのPDF教材が増えてきました。紙の問題集に計算式や解答を書き込むのと同様に、問題集のPDFデータ上に解答解説を書き込めば、授業をスムーズに進めることができます。自作のプリントを準備する機会が増えたという講師の方も多いのではないでしょうか。
問題集のPDFデータ上に解答解説を書き込むには、PDFファイルの編集ができる専用アプリが必要です。実は、ノートアプリに比べると質の良いPDF編集アプリは数が少ないのが実際です。ちょっとした作業なら無料のアプリでも可能は可能です。
しかし、本当に使い勝手の良いPDF編集アプリを選ぼうと思うと、どうしても有料のものを選ばざるを得ません。
代替手段として、PDFファイルの内容のスクリーンショットを手書きノートアプリに貼り付けるという方法があります。授業で自作プリントの解説を行う場合であれば、この方法で十分ですし、複数のアプリを切り替える手間もなくなります。
自分が行いたい使い方を具体的に思い描きながら、PDF編集アプリを導入すべきかどうかを考えてみてください。
【視点3】普段遣いと授業用で使用する端末は異なるか?
最後の視点は、使用端末の環境についてです。
例えば、タブレット端末でオンライン授業を行う場合、普段使いの私用タブレットと塾で使う授業用タブレットが異なる場合があります。この場合、複数端末でデータが同期できるアプリを選ぶ必要があります。
また、授業は塾に設置された電子黒板で行うという方もいるでしょう。電子黒板の大半がAndroidベースのOSで動いています。普段使用しているタブレットがiPadの方は、iPad OSとAndroid OSの両方に対応したノートアプリを選ぶことになります。
ノートアプリの中にはPCに対応しているものもあります。プリント作成など、他の作業でPCを使用する頻度が高い方は、PC対応のノートアプリを使用することで更に発展的な活用ができます。
ぜひ積極的に検討してみてください。
3.講師向けおすすめアプリ4選
ここでは、ノートアプリ2種、PDF編集アプリ2種の合計4つの学習塾講師向けアプリを紹介します。
- Prodrafts【iPad】
- PDF Expert / Documents【iPad】
- Onenote【iPad・Android・Windows・Mac】
- Foxit PDF Editor【iPad・Android・Windows・Mac】
1と2はiPadのみで完結する塾向けアプリ、3と4は複数のOSに対応する必要がある塾向けのアプリです。
iPadのみで完結する塾向けのおすすめアプリ
普段使いのタブレットがiPadで、その端末でそのままオンライン授業ができる人や、塾の専用端末がiPadである人におすすめなのが、「Prodrafts」と「PDF Expert」(あるいはDocuments)です。
Prodrafts
無限キャンバスが使用できるiPad専用の手書きノートアプリです。
基本のペン機能はiPad標準のノートアプリと同じものが使用できる上、授業でよく使用するペンを自分の好みの設定でプリセットすることもできます。
筆記精度は高く、遅延やブレを感じることはありません。書き心地にこだわりのある講師の方にもおすすめです。
「Prodrafts」はiCloudを用いたノートのクラウド同期が可能ですが、これは有料版のみの機能です。個人のタブレットと塾のタブレットの両方で同期する必要がある方は、買い切りの有料版の購入が必要になります。
PDF Expert
PDFへの書き込みを希望する方には、「PDF Expert」というiPad専用のPDF編集アプリがおすすめです。
「Documents」という別名のアプリもありますが、同じ会社が別の名称で出しているほぼ同じ機能のアプリですので、どちらを選んで頂いても問題ありません。
PDFへの書き込みは有料版のみの提供で、サブスクリプション契約をする必要があります。筆記精度が非常に高い上、その他の編集機能も充実しているので、使用頻度が高いと見込まれる方は有料版の導入もおすすめです。
iPadで無料のPDF編集アプリを使う場合は、「PDF Editor®」というアプリもあるにはあるのですが、広告が表示されるため授業での使用には向かないことは指摘しておきます。
複数のOSに対応する必要がある塾向けのおすすめアプリ
複数のOSに対応したアプリを選ぶ必要がある方には、「Onenote」と「Foxit PDF Editor」をおすすめしています。
Onenote
「Onenote」はMicrosoft社が提供する無料のノートアプリです。無限キャンバスがPCを含むあらゆるOSで快適に使用できるのが特徴です。
無限キャンバスというと、背景はマス目か罫線なしの2種類からしか選べないものが多いのですが、無限キャンバスには珍しく、「Onenote」には横軸も用意されており、しかもマス目の大きさや罫線の幅も選択可能です。背景色も選べるので、ダークモードが好きな方にもおすすめです。
使用端末の幅が広いのも特徴です。PCやタブレット、電子黒板といったあらゆる端末上でノートを同期させながら使用できるのは非常に使い勝手が良いです。筆記精度も高く、全体的に非常に使い勝手が良いアプリと言えるでしょう。
Foxit PDF Editor
複数OSに対応したPDF編集アプリには「Foxit PDF Editor」というものがあります。
複数OSに対応していることに加え、PDFへの書き込み機能が無料で使えることがこのアプリの非常に大きな強みです。惜しいことに筆記の精度がやや劣ります。
若干の遅延・ブレを感じる程度なので実用には問題ありませんが、気になる人は気になるかと思われます。ぜひ実際に試した上で、導入するか否かを検討してみてください。
4.デジタル環境を整えて学習塾の生産性を向上
「教育業界はデジタル化が遅れている」と言われることがあります。教育業界以外の企業との付き合いの経験に照らしても、その指摘はあながち間違っていないと感じています。
極論、紙とペンと経験があれば十分に成り立ってしまうビジネスですので、日々の業務改善に志高く取り組まなければどんどんと取り残されてしまいます。
幸いにして、現在はさまざまな有用なサービスが溢れていますし、その多くは無料か非常に安価に提供されています。
今回の記事をきっかけに、デジタル環境の整備やさまざまなツールの活用に興味を持っていただければ、学習塾業界の生産性も向上し、日本の教育もさらに高いレベルへと進化するのではと期待しています。
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